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表現と報道の自由を巡って〜僕たちはみんなチェイニー・サブマリンに乗っている-2009年1月前編

Domingo 1ro de febrero de 2009, por ebita

Enero 2009: All we are in a Cheney submarine…
Original es
イラスト W oznia k

2週間程前に、ディック・チェイニー副大統領は、グアンタナモで拷問の手法が用いられていたことについての弁明を行い、具体的には、拘留者を水に沈めて溺れさせる潜水艦という手法の使用について認めた。そして、この手法が成果を納めたことを自慢げに語りさえしたのだ(1)。その成果というのが実際にはどういうものなのかという説明は一切なかったけれど。まだ在任中の彼の大統領が«私の8年に及ぶ大統領在任期間において、一番悔いが残るのは、イラクにおける諜報活動の失敗だ»と認めているにもかかわらず、実際には退却せず、アメリカ合衆国の最高代表者として戦争は必要だった(“戦いを仕掛けると宣言した敵を容認することはできなかった”)と言い続けている。
イラク戦争とそれに続く占領の5年間の結果は、死者120万人。トニー・ブレア、ホセ・マリア・アスナール、ポール・ウォルフォウィッツ(元世銀総裁)、ドナルド・ラムズフェルドも、自分たちの行動が引き起こした結果を後悔している様子は微塵もない。いくつもの名門大学が、いまだに現在の国際状況についての彼らの見解を講演会で学生たちに語ってもらおうと、(途方もない金額を支払って)彼らを招き続けているし、彼らに経営顧問の座を提供している国際的企業もあるのだ。なんともおめでたいことに、ジョージ・ブッシュとタカ派の盟友は、自分たちの親族が参加する企業やこの8年政権担当期間中彼らがすこぶる寛大に接してきた企業の経営顧問の座に戻ることになるだろう。しかし、数日のうちにホワイトハウスを後にしなければならない。歴史とその研究が、こういった人物たちの一人一人をだんだんと、相応の場所に収めていくだろう。

興味深いことに、死者120万人というおぞましい結果は、西側マスメディアの興味を引かないようだ。事実、このニュースは、セブン・ストーリーズ社(ニューヨーク)が毎年発行しているカリフォルニアのソノマ州立大学の検閲に関するプロジェクトの報告書“Censored 2009(検閲されたもの2009)”によると、米国や世界各国の大手マスメディアの手で隠蔽されたニュース・トップ25の2008年年間ランキングの筆頭を飾っている。米国とヨーロッパの大手マスコミが、この計画されて操られたような健忘症にかかっているのは、なぜだろうか?
ずいぶん前から、僕たちの“民主的な”マスメディアは金融と経済を支配する少数の人々の手中にある。イタリアのメディアセットに相当するのが、スペインではプリサとRcsメディアグループ。フランスではビベンディ、ラガルデール、デソルト、ブイグ、アメリカではニュー・コープ(ルパー・マードック)とビア・コムなどなど。その例を挙げると長いリストができる。 マスメディアの支配権を巡る経済的政治的利権の闘いが表現と報道の自由を破壊し、第四の権力を大幅に弱体化させてしまったのだ。僕たちは、ウォータゲート事件の時代からはるかに遠くまで来てしまっている。取材や調査を行うジャーナリストは脅迫され、操られ、見張られ、解雇されており、マスメディアは主要な報道機関(AP、ロイター、AFP)が配信するニュースを繰り返すだけだ。こうした報道機関に対するコントロールも日ごとに増しているというのに。トムソンはロイターを買収し、ボロレ−彼はサルコジの友人で休暇の際には彼に船を貸した−はAPフランスを買収した。
インターネットは、“公式”情報を検証するため、それに代わるような情報を提供し続けている。ル・ムンド・ディプロマティクレベリョンゼットマグはマイナーなメディアであるが、しっかりとした組織で、現状についての別の見解を提供してくれている。

また、表現の自由、特に私たちは現実を知らせ、情報や真実と現実についてじっくり考える機会を与えるために、世界中で自分たちの命を危険に晒しているジャーナリストの誠実さを擁護している組織も存在する。彼らは時には、自分の命を危うくしてまで、私たちに自由に意見を言う機会を与えてくれているのだ。
不幸なことに、2008年には以前から公然の秘密であったことが事実であるとわかった(2)。報道の自由を護る最も重要な組織の一つ国境なき記者団(RSF)にも、政治利権が入り込んでいたのだ。RSFは、2001年から個人献金の大部分を、NED(全米民主主義基金)経由でアメリカ合衆国の省からの財政支援を受けるキューバン・フリーダム・センターから受け取っていた。そうであれば、RSFが2001年からはキューバ、その後はベネズエラ、ボリビア、そしてエクアドルに対して、あれほどまでに客観的に激しい批判を繰り広げていたことは驚くにはあたらない。そしてまた、例えば、報道機関の自由に関する2003年度の年間レポートには、イラク戦争のまっただ中であったにもかかわらず、アメリカ合衆国が関わる記述が1つもないのだ。同年4月8日ホセ・コウソ [1]は、バグダッドのパレスチナ・ホテルにいたときに米軍に殺害されたのだ。こうした関係を21年間に渡って続けていた疑惑の事務局長ロベール・メナールは辞任している(非公式にNEDの資金の偏向をアメリカの議会が調査したことが原因だった)。
RSFの組織が威信を取り戻すのは困難な作業となるであろうが、あの忌まわしい人物が去った後、僕たちは彼らの公正さに対して大きな信頼を寄せている。ボブ [2]・メナールはこの職業そのものを汚し、献金を組織の目的からかけ離れた政治目的のために利用していた。その資金を悪用して、金の力でテロリストや傭兵を手に入れていた。表現の自由をわずかなドルと引き換えに売ったのだ。彼は、かつてもそして今も、金で動く傭兵なのだ。現在彼はメディアの自由のためのドーハ・センターにいる。この組織はドミニク・ド・ヴィルパン(クリアチャンネル [3]の問題を表現の自由として擁護した人物として知られる)やパトリック・ポワーヴル=ダルヴォール(21年に渡ってブイグ建設会社が持つ組織網を使って、フランスの国民に対する情報の供給を操ってきたボトンの友人)と多様な経営顧問を擁している。こういった忌まわしい人物や政治と経済の利権が奇妙な絡み合いの産物であるこの新しい組織に、多くは期待していない。

それとは反対に、RSF新事務局長ジャン・フランソワ・ジュリアードには、多大な幸運に恵まれることを祈っている。彼が公正明大で知的な人物であることはすでに証明済みだ。この組織が、報道の自由を侵している全ての国に対して、この10年間中国、キューバ、ベネズエラに汚名を着せるために用いてきたような創造的な手法で意欲的に行動を起こすことを期待しよう(大使館と連携したり、エッフェル塔に旗を広げたり、キューバに向かう観光客ビラを配ったり、インターネットで違法な行為に行ったり、“闇の人々”を組織したり…)。アルジェリア、モロッコ、コロンビア、イスラエル、ロシア、アラブ首長国連邦、パキスタン、イラクについて話すとしたら、どうだろうか? 首を長くしてRSFの2008年度国別ランキングを待つことにしよう。

バグダッドのパレスチナ・ホテルからガザ国境地帯に至るまで、もうひとつの沈黙がある。大手マスメディアは、数年前からパレスチナで起こっている現実を報道していない。ごく少数の組織やメディアのおかげで、イスラエル国家がパレスチナの人々に日々与えている痛みを想像することができるだけだ。
ロケット弾やパレスチナのテロリストの攻撃がイスラエルの人々に与えている痛み。イスラエルの爆弾が引き起こしている痛み。このような不公正な暴力が生じたことを、説明しなければならない状況になると、全てが白日の下にさらされる。しかし、真の暴力、真の恐怖。それは、50年以上も前からパレスチナの人々が日常的に生きているもののことなのだ。
土地の没収や計画的な住宅の破壊について語られたことが何度あるだろうか? 一体何回、経済封鎖が真綿で首をしめるような行為であるという話を耳にしたことが何回あるだろうか? 移動する権利が侵されていることについては? ゴラン高原の高地から水がコントロールされていることについては? ガザの病院には電気も薬もない理由を説明している新聞が何紙あるだろうか? 植民者たちが継続的に挑発行為を行っていることを取り上げている頁が何頁あるだろうか? “恥辱の壁”の核心については? イスラエル軍が毎週行う不当な取立てが話題にされたことが何回あるだろうか? イスラエル政府が何十年も前から潜水艦の手法を実践していることについては?彼らは禁止されている一連の方法を使って、パレスチナのテロリストを溺れさせているのだが、そうした手法の大半は世界のマスメディアの目には映らない(少なくとも新聞を読む限りではそう見える)。一気に消滅させるのではなく、占領地の苦悩を引き伸ばし、パレスチナの人々から希望を奪うための、慎重で恐ろしいほどに効果的な行動だ。
トリリョが事前に許可し、モラティノスが事後承諾を得てバレアレス諸島に寄港した [4]CIAのメンバーが行うように、いつも生贄には息をさせるのだ。生かしておくために。それは殺すことができないからかもしれないし、殺すことを望まないから(つねに他人を狂わす人間はありうる)かもしれないし、まだ彼らが何らかの役に立つからなのかもしれない。いずれにしても、そのためには、生け贄を衰弱して従順なままにしておかなければならないのだ。
ハマスの過激派の暴力を、イスラエル軍の暴力と比較することはできない。聖書がダビデとゴリアの話で示しているのは、強いものが常に勝利するとは限らないということだが、大抵の場合現実はそうではない。
共存は、他者と共に生きようという確固たる信念を抜きにしてはありえない。他者を閉じ込めて、時々食事を与えと治療を許可する。これは生かすということではない。このような状況の場所は世界中に多く存在し、人類の歴史上もこうした例は枚挙にいとまがない。しかし、こうした状況下では、多くの人々は自由を失うくらいなら死んだほうがましだと思うだろう。もしイスラエルの人々に、もしイスラエル政府に、何もする気がないのであれば、国際社会にできることは多くはない。イスラエル製の商品をボイコットすることはできる(商品についているバーコードが729で始まるので見分けることができる)。こうしたキャンペーンはいくつも起こっているが、これは政府の行いのせいで、その国民全体に罰を与えることになってしまう(キューバ革命の50周年に、アメリカ合衆国はキューバに対する経済封鎖の50周年を祝うことになる)。とりわけ、そこで働く人々を。彼らの多くはパレスチナ人なのだ。2009年の訪れが、イスラエルの人々に平和の存続の大部分が彼ら自身の手にかかっているという自覚を促すことになるといいのだが。この2月に、イスラエルの人々は、未来と変化の可能性を自分たち投票によって決める責任を背負うことになるだろう。

(後編はこちら

(1) 2008年12月16日版クラリン
米放送局ABCが昨晩放送したインタビューの中でディック・チェイニーは、問題となっている“ウォーター・ボーディング”という手法−囚人を水中に沈めて溺れさせる−は、“目覚しい成功”を収めたことは、“その結果を見れば一目瞭然だ”と語った。“もちろん、このプログラムのことは知っていましたし、その手順を決める手助けもしました。実際、情報機関は、何ができて、何ができないのかを知りたがっていたのですから。そして、彼らは他の人々にも私にも、何がしたいのかを説明してくれました。それで、私は彼らを支援したのです。”

(2) 2003年9月23日版キューバ・ディベートにおけるジャン・ギィの記事より
米国民主主義基金(National Endowment for Democracy: NED)は、アメリカが週国の省に所属する機関で、その主な役割は、ホワイトハウスの計画を世界中で促進することである。RSFの事務局長であったボブ・メナードは、2005年に「実際私たちはNEDからお金を受け取っているが、そのことで私たちにはいかなる問題も生じていない。」と堂々と名言した。また、彼には、CLCは、3年前にパナマで、ギエルモ・ノボ・カリレス、ペドロ・クリスピン・ラモンヤガスパル・ヒメネス・エスコベドといった死の刺客たちと共に逮捕されたテロリスト、ルイス・ポサダ・カリレスとの連帯を呼びかけるやかましいキャンペーンを推進する人々と親交があることも否定できない。同様に、CLCの幹部全員とナンシー・ペレス・クレスポが熱狂的に支持して解放を求めるテロリスト、オルランド・ボッシュは、10カ国以上で起きた数十ものテロ行為の責任者で、ポサダ・カリレスと共に、1976年にキューバの航空会社の飛行機が飛行中に爆発して起き73名の死者を出した事件の実行犯でもある。彼が長を務める“a Coordinadora de la Organizaciones Revolucionarias Unidas(連帯した革命機関の調整)”は、ペルー人作家マリオ・バルガス・リョサが指揮をとる“Fundación Internacional para la Libertad (自由のための国際基金)”というファシスト団体して関係しており、この団体には、テロリスト、独裁者フルヘニオ・バティスタのシークレット・サービスの息子であるカルロス・アルベルト・モンタネルが所属しているため、メナードの威信は失われ続けている。

Notas

[1] スペインのテレビ局のカメラマン

[2] ロベールの愛称

[3] ラジオ局の買収を繰り返し急速に業務を拡大した。現在では米国のラジオ局のほとんどがその傘下にあり、その影響力の大きさが問題となっている

[4] 昨年12月スペインのアスナール元大統領が在任時にブッシュ大統領と密約を交わし、グアンタナモに囚人を運ぶCIAがバレアレス諸島に寄港することを許可していたことが明るみに出て問題となった